英ポンド/円相場は、152~154円水準まで値位置を切り下げる展開になっている。特にポンドサイドに目立った材料は見当たらないが、株式市場の不安定化を背景に円買い戻しの動きが強くなったことで、5月2日以来の安値を更新している。日米経済のファンダメンタルズよりも、日経平均株価を中心とした世界的な株価動向が注目されるステージになっている。
このため、現在は株式市場の沈静化を待つ局面であり、短期的には更にポンド安・円高が進行するリスクも否定できない。1週間程度は現在の混乱状況が続く可能性もあるため、瞬間的に値が飛ぶ可能性も想定しておきたい。もっとも、ここから円金利が急騰するといったパニック的な動きが見られないのであれば、徐々にポンド高・円安トレンドに回帰すると考えている。本来は、金利上昇に合わせて日銀が機動的な国債購入を行うべき局面だが、いずれにしても異例な緩和策導入直後の一時的な混乱に留まる見通しであり、日英の金融政策環境の違いがポンド高・円安を促す流れに変化は生じないだろう。
22日に発表された4月英小売売り上げ高が2012年4月以来の大幅な減少となる一方、インフレ率が低下する中、イングランド(英中央銀行)に対する追加かwな期待も強い。7月1日に就任予定のカーニー新総裁の下では早期に追加緩和が行われる見通しであり、ポンドが急騰するような相場環境とは考えていない。対米ドルでは、寧ろポンド安が進行することになるだろう。ただ、日英の金融政策環境の違いを考慮すれば、対円では緩やかなポンド高・円安傾向が持続される見通しである。
今後1週間の予想レンジは、151.75~154.50円。